オウンドメディアのマネタイズとは、自社が所有するサイトの運用を通じて収益を得ることです。


コンテンツマーケティング入門ガイド
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自社の商品・サービスの販売を促進して間接的に収益を得る方法と、有料コンテンツの販売などによって直接的に収益を得る方法があります。
本記事では、オウンドメディアを活用したマネタイズの方法や手順を解説し、成功事例もあわせて紹介します。オウンドメディアの立ち上げを検討している方やマネタイズ方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
オウンドメディアのマネタイズは可能なのか?
一般的に、個人が運営するブログは、広告収益を目的としています。そのため、「企業が運用するオウンドメディアでも、個人ブログのようなマネタイズができないだろうか?」と考える方は多いでしょう。
オウンドメディアのマネタイズは、運営次第で実現可能です。しかし、サイトから直接的な収益を得ることは、オウンドメディアの本質とはいえないため注意が必要です。
オウンドメディアの主な目的は、潜在顧客や見込み客、既存顧客に対して有益な情報を提供し、つながりを生み出すことです。
コンテンツを通じて顧客の悩みや課題を解決したり、自社の商品・サービスについて知ってもらったりすることで、顧客との関係性を強化します。その結果、ブランディングや認知度の拡大が可能となり、間接的に売上へとつながるのがオウンドメディアの一般的なマネタイズ方法です。
サイトの認知度が高まり、アクセス数が増えてくると、広告掲載や有料コンテンツの販売などで直接的な収益を得ることも考えられますが、まずは本来の目的である情報発信に注力しましょう。
オウンドメディアでマネタイズを図る方法
オウンドメディアでマネタイズする方法には、大きく分けて次の3つがあります。
- 自社の商品・サービスの販売をアシストする
- サイト内で広告を掲載する
- 有料コンテンツを販売する
具体的な手法を見ていきましょう。
自社の商品・サービスの販売をアシストする
まずは、オウンドメディアを活用して自社の商品・サービスの販売を促進し、マネタイズにつなげる方法です。ここでは、具体的な4つの方法を紹介します。
- 商品・サービスの購入や問い合わせを促す
- ダウンロードコンテンツなどで見込み客の情報を取得する
- ファーストパーティデータをマーケティングに活用する
- 認知度向上による第一想起を目指す
商品・サービスの購入や問い合わせを促す
まずは、商品・サービスの購入や問い合わせを促す方法です。オウンドメディアの記事内に導線を設置し、問い合わせや購入といった具体的な行動を促します。記事内で商品・サービスのメリットやベネフィットをわかりやすく紹介することで、サイトの訪問者が購入を考えるひとつのきっかけになります。
コンテンツの一例として、商品・サービスに関する活用方法の紹介やQ&A、導入事例などがあげられます。見込み客の課題や悩みを深掘りし、それらを解決する方法として自社の商品・サービスを紹介すると、より効果的です。
ダウンロードコンテンツなどで見込み客の情報を取得する
オウンドメディアにホワイトペーパーや事例集などのコンテンツを用意し、訪問者が名前や連絡先を入力することでダウンロードできる仕組みを構築します。
入手した連絡先を、メルマガの送信や限定クーポンの配布などのマーケティング活動に利用することで、購入につながる可能性があるでしょう。ただし、ダウンロードフォームに注意書きをするなどの方法で、ユーザーが入力した個人情報の使用許諾を得ておく必要があります。
ファーストパーティデータをマーケティングに活用する
ファーストパーティデータとは、企業が自社で直接収集したデータのことです。自社で収集した情報であることから、情報自体の信頼性が高いという特徴があります。
サイト内での行動履歴や問い合わせのやりとりで得たファーストパーティデータをマーケティングに活用し、購買を促進します。
また、ファーストパーティデータを分析することで、見込み客の詳細なニーズを把握することが可能になり、より的確な施策立案やターゲティングに活かせます。顧客の関心にもとづいたパーソナライズされたメッセージを送るなど、見込み客との関係構築にも役立つでしょう。
認知度向上による第一想起を目指す
オウンドメディアを活用して、商品やブランドの認知度を向上させることも購入につながります。
見込み客が特定のジャンルの商品を購入する際、真っ先に思い浮かぶブランド(第一想起になると、購入につながる可能性が高まるためです。
自社が第一想起のポジションを得るために、見込み客の興味関心を引く役立つ情報をオウンドメディアで発信し、自社に対する親しみや信頼感を高めましょう。加えて、SEO施策やSNSでのコンテンツのシェアなどを行うと、より幅広いリーチが可能になるため、ブランドの認知度向上につながりやすくなります。
このように、自社の商品・サービスの販売を促進することでマネタイズにつなげるには、見込み客のニーズや行動に合わせたコンテンツマーケティングの戦略が必要です。
オウンドメディア内に他社の広告を掲載する
オウンドメディア内に他社の広告を掲載することで、広告料を直接的な収益源にすることができます。主な広告手法を見ていきましょう。
- インフィード広告
- アフィリエイト広告
- タイアップ広告
インフィード広告
インフィード広告とは、記事やコンテンツの間に自然に挿入される形式の広告です。コンテンツの一部のように違和感なく表示されるため、ユーザーの目に留まりやすく、高いクリック率が期待できます。インフィード広告は、読み手にとっても広告感が少ないため、コンテンツを読む妨げにならない点がメリットといえるでしょう。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、他社の商品・サービスを紹介し、ユーザーがリンクを経由して購入や申し込みを行うことで紹介料を得られる仕組みのことです。
広告を取りまとめているプロバイダに登録すれば利用可能で、代表的なプロバイダには、「A8.net」や「バリューコマース」などがあります。扱っている商品はプロバイダによって異なります。
オウンドメディアが特定の分野に強みを持っている場合、その専門性を活かして関連商品のアフィリエイト広告を掲載する方法が考えられます。例えば、技術系のメディアであれば、デジタルツールや機器の紹介記事に関連する周辺機器などの広告を設置することで、訪問者の関心を引き、収益につながる可能性が高まるでしょう。
タイアップ広告
タイアップ広告(記事広告)は、広告主の商品やサービスのプロモーションを目的として作成される広告コンテンツです。タイアップ広告を自社のオウンドメディアに掲載することで、広告主から直接収益を得られます。商品・サービスの紹介や活用事例などを記事広告として掲載します。
タイアップ広告の費用は「広告単価 × PV数」で算出されるのが一般的で、知名度が高く、PV数が多いサイトほど広告単価が高額になる傾向にあります。
タイアップ広告を活用する際は、自社のビジネスと関連性がある商品・サービスや、ターゲット層が似ている企業とのタイアップが効果的です。
有料コンテンツを販売する
オウンドメディアで直接的な収益を得るもうひとつの方法が、有料コンテンツの販売です。代表的な施策として、次の2つを紹介します。
- 有料記事の販売
- 有料セミナーの参加者募集
有料記事の販売
オウンドメディアのコンテンツを直接収益化するための手段として、有料記事の販売があります。無料コンテンツよりも充実した情報を有料で提供することで、ユーザーは価値の高い情報を入手でき、企業側は直接的な収益を得ることが可能です。
独自の業界分析や最新のノウハウ、専門家のインタビューなど、一般公開では得られない価値のある情報は、有料記事として提供してみましょう。
月額の有料会員を募る方法もありますが、その場合は継続的に質の高い情報を提供するための体制構築が必要です。「費用に見合った価値がある」とユーザーに感じてもらうことができれば安定した収益源になりますが、買い切り型の有料コンテンツよりも難易度は高くなります。
有料セミナーの参加者募集
オウンドメディアを通じて有料セミナーの参加者を募集することも、マネタイズの方法のひとつです。自社が持つ専門的な知識やノウハウを提供するセミナーは、自社メディアに興味を持ってくれている読者の関心を引きやすいといえます。
Web上で開催する「ウェビナー」であれば、場所を選ばずに参加者を集めることが可能で、場所代や交通費などのコストも削減できます。
オウンドメディアでマネタイズを目指すための5つの手順
ここでは、オウンドメディアでマネタイズを目指すための5つのステップを紹介します。
- マネタイズの方法を選定する
- ターゲットやペルソナを明確にする
- コンテンツを作成し、配信する
- 認知を高める
- コンテンツの評価と改善を行う
1. マネタイズの方法を選定する
オウンドメディアで収益を得るためには、まずは、自社に合ったマネタイズ方法を選定することが大切です。マネタイズ手法は、先述したように大きく分けて「自社商品の売上への貢献」「広告収入」「有料コンテンツの販売」の3つがあります。
それぞれ特性や適したコンテンツが異なるため、オウンドメディアの目的、ターゲット層、予算に合わせて自社に最適な方法を決定しましょう。
複数の方法を組み合わせることも有効です。自社サービスのプロモーションと有料コンテンツ販売を組み合わせるなど、収益源を複数持つこともできます。
ただし、最適なマネタイズ方法は運営しながら見極めることも大切です。例えば、当初は広告収益を目的に運営していたものの、PV数が伸び悩む一方で、問い合わせ件数が増加している場合、リード創出にシフトするという判断も考えられます。最初から1つの方法に固執せず、状況に応じて柔軟に対応できるようにしましょう。
2. ターゲットやペルソナを決める
オウンドメディアでマネタイズを図るには、ページビュー(PV)数を増やすための取り組みが必要です。始めに、オウンドメディアのターゲット層やペルソナを決めて、「誰に」「どのような行動を促したいのか」を明確にしましょう。
ペルソナとは、自社の顧客像を具体化したものです。ターゲット層は「20~30代の女性」のように大まかな設定になりますが、ペルソナは1人の顧客を想定し、年齢や性別、居住地、興味関心、悩みなどを細かく設定します。
具体的なペルソナが設定できれば、ターゲットの興味を引くコンテンツ企画や効果的な戦略立案に活かせます。この段階でターゲットの課題やニーズが明確になると、訴求力の高いコンテンツの発信につながりやすくなります。
3. コンテンツを作成し、配信する
コンテンツは、ターゲットの興味関心に合った有益な情報を提供することが求められます。SEO対策を意識しつつ、読者の悩みやニーズに応える内容にするのがポイントです。
読者に役立つ情報を定期的に発信することで、リピーター増加にもつながります。コンテンツが増えてきたら、内部リンクを活用し、読者のサイト滞在時間を延ばす取り組みも行うと効果的です。
また、自社の商品やサービスを自然な流れで紹介することで、間接的なマネタイズにつながります。
4. 認知を高める
オウンドメディアで収益を得るためには、認知を高めてアクセス数を増やす必要があります。
SEO対策では、選定したキーワードでの検索順位の向上を目指しつつ、内部リンクの最適化や外部リンクの獲得を意識すると良いでしょう。コンテンツのSEO対策によって検索エンジンからの流入を増やすだけでなく、SNSなどに掲載するWeb広告を用いる方法もあります。
SEO対策は結果が出るまでに時間がかかることが多いため、短期間でアクセス数を伸ばしやすいWeb広告と併用するのもひとつの方法です。
5. コンテンツの評価と改善を行う
配信したコンテンツは、その効果を評価し、改善を行うことが重要です。Google アナリティクス(GA4)やGoogle Search Consoleなどを活用して、アクセス状況やユーザー行動を分析しましょう。パフォーマンスが低いコンテンツはユーザーのニーズに合っていない可能性があるため、タイトルの改善や本文の見直し、内部リンクの追加といった改善が必要となります。
定期的な評価と改善を繰り返し、課題がどこにあるのかを分析することでコンテンツの質を高め、見込み客の創出やコンバージョンの増加につなげましょう。
オウンドメディアのマネタイズ事例
ここでは、オウンドメディアを活用したマネタイズの事例として、4つの企業の取り組みを紹介します。
- 株式会社ファンケル
- パーソルホールディングス株式会社
- 株式会社マイベスト
- 株式会社LIG
株式会社ファンケル
出典:ファンケル
化粧品やサプリの販売を行う株式会社ファンケルは、ECサイトを「購入の場」から「コミュニケーションの場」へ進化させることを目的として、2021年に「FANCL CLIP」を開設しました。
それ以前は、情報発信が紙媒体をベースとしていたため、コンテンツ制作に時間がかかり、トレンドに合わせた対応が難しいという課題がありました。
FANCL CLIPは、「購買タイミング以外でも訪れたくなるメディア」を目指し、タッチポイントを増やす役割を担っています。特に、商品モニターの募集やアンケートなどを行う「イベント」カテゴリは、ヘビーユーザーからの支持が高く、ロイヤルティの向上に寄与しています。メルマガやLINEなど他媒体との連携や、ECサイト内で関連商品の記事を表示する仕組みも採用しました。
また、顧客の行動データを活用し、個々の悩みに対応する記事を自動表示する仕組みも試験運用中です。顧客との接点を深めたことで、LTVが約3倍に向上しました。
オウンドメディアを直接的な購入の場ではなく、顧客への情報発信を通じて関係を構築するための場として位置付けたことで、間接的に売上を伸ばした事例です。
パーソルホールディングス株式会社
パーソルホールディングスは、人材派遣や転職支援、ITアウトソーシングなどの総合人材サービスを提供する企業です。
主にイベント出展や広告によって見込み客を創出していた同社は、2020年より新たにオウンドメディアを活用したオーガニック施策を開始しました。しかし、SEOの知見が少なく、PDCAもうまく回せていなかったことから、専門知識を持ったパートナー企業の支援を受けて戦略の強化を図りました。
まずは、200以上の商材から優先度の高いDX領域を選定し、グループ内の有識者を監修者としてコンテンツ制作を行いました。さらに、UIなどに課題があったフォームは、約半年にわたる検証を行い、フォーム改修の必要性を実証しています。その他、コンバージョンポイントにおけるホワイトペーパーの強化やCTAの変更などの施策を実施し、CVR(コンバージョン率)が2倍以上に増加しました。
また、受注金額は前年同期比8倍を達成しています。オウンドメディアを自社サービス販売の効果的なアシストにつなげた事例です。
株式会社マイベスト
出典:マイベスト
株式会社マイベストは、消費者の意思決定を支援する商品比較レビューサイト「mybest」を活用し、アフィリエイト広告での収益化に成功しています。徹底した自社検証と専門家の起用によって正確かつ公平な情報を届けることで、ユーザーの信頼を獲得しました。
商品レビューやランキング形式の記事を充実させ、消費者が商品購入に至る「最後の一押し」となるコンテンツを提供しました。各記事で紹介する商品のアフィリエイト広告を挿入し、アフィリエイト収入につなげています。その結果、オウンドメディアを収益源として確立することに成功しています。
株式会社LIG
出典:株式会社LIG(リグ)
Web制作やマーケティング支援などを手がける株式会社LIGは、月間約200万PVを誇るオウンドメディア「LIGブログ」を運営しています。ブログ運営の目的は問い合わせの増加です。2007年の創業時から平日に記事を1本更新し続けることで、問い合わせが途切れなくなりました。
当初、「社員みんなで記事を書く」というスタイルのもと記事を作成していくなかで、社員の個性を押し出した記事が人気を博し、月間数百万PVのオウンドメディアになりました。「面白い記事」だけではなく、ユーザーに役立つSEO記事も並行して作成し、コンテンツを増やしていきます。
すると、「LIGブログに広告を出したい」というオファーが舞い込み、広告枠の販売に踏み切ります。2016年には月間800万PVも達成し、収益化に大きくつながりました。自社の認知度を高めつつ、直接的なマネタイズにも成功した事例です。
オウンドメディアを活用してマネタイズにつなげよう
オウンドメディアでマネタイズを目指すには、まずアクセス数を伸ばし、認知度を高めることがポイントになります。
SEO対策やペルソナに合わせたコンテンツの作成と改善を続けることで、認知度やアクセス数向上を目指しましょう。運用が軌道に乗ったら、広告収入や有料コンテンツ販売といった直接的なマネタイズ手法を組み合わせることも可能です。
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